チョークアートには大きく分けて3つの種類があります
ひとつ目は、アーティチョークでも取り扱っている、看板用途としてオーストラリアで発達したもの。現地では、ブラックボードアートやチョークボードメニューなどと呼ばれ、オーストラリアやニュージーランド、イギリスなどで多く見ることができます。近年は、「ブルックリンスタイル」と呼ばれる、主にハンドレタリングが特徴のモノトーンスタイル(黒に白のみ)がアメリカで生まれました。
二つ目は、イタリアをはじめに盛んに行われている「ストリートチョークアート」といわれる分野です。地面にチョークパステルを使用して大きな絵を描くパフォーマンスとして知られています。だまし絵のような立体の絵を描いたり、イベント性の高いアートで、見る人が描かれる途中経過を楽しんだり、雨が降ったら消えてしまうというはかなさを持っています。
三つ目は、アメリカで主に見られる宗教的なアートです。教会で牧師が聖書の話をするときに、その内容に合わせて即興で絵に描いたものもチョークアートと呼ばれています。主に風景画や聖書の内容が絵で表現されたものを多くみることができます。
イギリス生まれオーストラリアで発達したカフェアート
もともとはイギリスのパブの看板がはじまりだと言われています。その後、イギリスの文化を引き継ぐ、オーストラリアの看板職人たちによって、カラフルでポップなカフェ看板に変化しました。今ではカフェの代名詞とも言われるほど、欧米諸国をはじめ、日本でも普及しています。
世界的には、様々なエリアで黒板にチョークを使って絵や文字を描くことは昔からされていたことですが、消えないように加工されたり、鮮やかに描かれたアート的なチョークアートが発達したのは、ここ20年ほどの間です。
日本での看板としてのチョークアートは、2001年に栗田貴子がオーストラリアの看板屋で修行をして持ち帰ったのがきっかけです。以降、チョークアートは看板としての枠をこえて、ひとつのアートとしても認識されつつあります。
イラストの特徴とは
本来、情報を発信するために文字を描き、素朴なイラストを描くアートとして始まったチョークアートですが、画材の進化も進み、カラフルで繊細な描写で描くアーティストも増えました。黒い背景に描かれる浮き上がるようなコントラストのイラストやレタリングは、見ている人に視覚的に訴えます。写真とは違う、まとまりすぎていない自然なラインやチョークの素朴なタッチ、動的でコミカルなイラストレーションはチョークアートの特徴と言えるでしょう。
イラストのみならず、チョークアートはレタリングとの組み合わせ、そして看板としてのPR力といった実用的な要素も関わってくるため、非常に奥深いアートだと言えます。
看板としての魅力とは
近年は、看板のデジタル化で、ほとんどの店の看板やディスプレイがパソコンを使って作られたものに変わりつつある中、手描きの看板は、同じものが存在しない無二の存在として、そのオリジナリティから存在感が増しています。
チョークアートの独特な温かみのあるタッチは、無機質なお店の中に、ほっとするスペースを与え和ませてくれます。シズル感を表現して、写真以上に美味しそうに描かれたチョークアートは、お店の前を通りかかる人々に、思わず「食べたい!」と思わせる直感的な効果があります。